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医師会のお仕事:「在宅医療でつなぐ地域の絆と未来 ~神奈川県医師会での取り組みと災害支援の教訓~」
1. 神奈川県医師会の取り組みと私たちの役割
12/11水曜日に、神奈川県医師会の在宅医療対策委員会の会議に出席しました。
この委員会では、地域で必要とされる在宅医療の課題を議論し、解決に向けた具体的な取り組みを進めています。
私も委員の一員として、相模原市内の訪問診療で培った経験をもとに、地域の医療・介護の現場で何が必要とされているかを共有しています。
特に注目されているのが、地域包括ケアシステムの構築です。
医療と介護の両方を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で安心して生活を続けられる環境をつくることが目標です。
この取り組みは、医師だけでなく、多職種の協力があって初めて成り立つもの。私たちの力がどこまで地域を支えられるか、改めて考えさせられます。
2. 訪問診療10年の歩みと地域での支え合い
当院の「さがみはらファミリークリニック」では、相模原市内、主に緑区と中央区の患者様を対象に、10年にわたり訪問診療を行っています。
この10年で見えてきたのは、患者様やご家族が「自分らしく生きる」ためには、医療と介護の連携が欠かせないということ。
訪問診療では、日々患者様と向き合いながら、地域のケアマネージャーさんや訪問看護師さんとのコミュニケーションも密にとり、チームで支えています。
「顔の見える連携」があるからこそ、困難な状況でも前向きに取り組むことができるのです。
3. 課題はまだまだ山積み!未来を見据えた研修の必要性
しかし、在宅医療を取り巻く課題も多いのが現実です。これからの在宅医療を支えるためには、以下のような取り組みが重要です:
•在宅医の養成研修:若い医師が在宅医療を学びやすい環境づくり
•小児在宅医療の充実:医療的ケアが必要な子どもたちへの支援体制
•ケアマネージャーの医療研修:介護現場との知識共有
•ハラスメント研修:多職種連携での安全な環境の確保
さらに、多職種で共有できる「在宅医療連携のためのテキスト」を作成することも議論されています。未来の地域医療のためには、こうした基盤整備が欠かせません。
4. 能登半島地震で見えた地域の絆と在宅医療の力
今年の能登半島地震では、水上が日本医師会から災害支援チーム(JMAT)の一員として現地で活動しました。
その経験をもとに、「医療の力と地域の絆 ~能登半島地震支援で見えた在宅医療の役割~」という題名での講演会が、来月神奈川県医師会主催で開催予定です。
災害時こそ在宅医療の重要性が浮き彫りになります。
高齢者や独居の方々が自宅で医療を受けられる環境が整っているかどうかが、生死を分ける場合もあるのです。
この経験を広く共有し、次の災害に備えたいと思っています。
5. 地域医療は「絆」がつくる!ともに未来を目指して
地域包括ケアシステムを支えるのは、「医療の力」と「人と人との絆」です。
私たち医師だけではなく、介護職、行政、地域住民が一丸となることで、安心して暮らせる地域づくりが実現します。
これからも患者様一人ひとりが「その人らしい生き方」を続けられるよう、私も全力で取り組んでまいります。一緒に地域の未来を支えていきましょう!
次回は相模原市医師会でのお仕事を紹介します。
土曜日の夜はこんな曲でゆっくり過ごせるとよいですね!
理事長 水上潤哉