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意思決定支援シリーズ⑤胃がんの終末期「家族で未来を話し合う時間~事例で考える人生会議の大切さ~」
はじめに:意思決定支援・第5弾!
こんにちは!意思決定支援シリーズも第5弾となりました。
今回は、架空の事例をもとに、人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)の進め方について具体的に考えてみましょう。
病気の進行による不安や、家族が抱える悩み。どんな課題があるのか、それをどう乗り越えるかを解説します。
一緒に学ぶことで、自分や家族の将来について前向きに考えるヒントを得ていただけたら嬉しいです!
1. 架空の事例:50代男性のケース
まずは事例を見てみましょう。
患者の状況
•年齢:50代男性
•病名:胃がん終末期(余命6カ月)
•症状:体重20kg減少、食欲不振、腹痛
家族構成
•妻(同年代)、大学生の息子、高校生の娘
•男性は会社で管理職として働いており、家族を支える役割を担ってきた
胃がんの進行に伴い、男性の体力や食欲が低下しており、家族はこれからの治療やケアについてどう考えるべきか悩んでいます。
2. 人生会議で話し合ったこと
このケースでは、家族全員で人生会議を行い、以下のような話題が取り上げられました。
① 医療とケアの選択について
•男性は「これ以上、苦しい治療をしたくない。家族と穏やかに過ごしたい」と希望。
•家族は「可能な限り長生きしてほしい」と考え、治療を続けるべきか迷っていました。
② 生活と家族の将来について
•男性は「自分がいなくなった後も、家族が幸せに過ごせるよう準備をしておきたい」と発言。
•妻や子どもたちは、突然の状況に戸惑いながらも「これからの生活をどう支えるか」を話し合いました。
③ 最期をどこで迎えたいか
•男性は「家で家族に囲まれて穏やかに過ごしたい」と希望。
•家族は「在宅医療でサポートできるのか不安」と感じていましたが、訪問診療の医師から具体的な提案を受けて安心感を得ました。
3. 課題と解決策
人生会議では、以下のような課題が浮かび上がり、それぞれに解決策が見つかりました。
課題1:治療方針の違い
家族は「治療を続けてほしい」と考え、本人は「穏やかに過ごしたい」と希望。
解決策: 医師が治療のメリット・デメリットを説明し、家族全員で「本人の意思を尊重すること」が大切だと理解しました。
課題2:家族の生活への不安
妻や子どもたちは、「これからの生活をどう乗り越えるか」に不安を感じていました。
解決策: 男性が遺言やエンディングノートを作成し、家族へのメッセージを残すことで、家族の不安が軽減されました。
課題3:在宅医療への不安
「自宅で最期を迎えることが本当にできるのか」という疑問がありました。
解決策: 訪問診療の医師や看護師が具体的なサポート内容を説明し、在宅医療を受ける環境が整いました。
4. 人生会議を行った結果
話し合いを通じて、家族全員が「本人の意思を尊重すること」の大切さに気づき、以下の意思決定がなされました:
1.治療は無理に続けず、緩和ケアを中心に穏やかな時間を過ごす
2.在宅医療を選択し、自宅で家族とともに過ごす
3.子どもたちには「これからも自分らしく生きてほしい」という父親からのメッセージを伝える
このプロセスを通じて、家族全員が前向きに未来を考えられるようになりました。
5. 人生会議がもたらす安心感
この事例が示すように、人生会議は「難しい問題に直面する不安」を和らげ、「家族全員が安心して過ごせる未来」を作るための重要なステップです。
ポイントは以下の3つです:
1.本人の希望をしっかり聞くこと
2.家族が意見を共有すること
3.医療者のサポートを活用すること
人生会議を通じて、家族の絆もより深まりました。
次回予告:人生会議のさらなる事例紹介
本日は、架空の事例をもとに人生会議の進め方を考えてみました。
次回は、さらに具体的な事例を紹介し、皆さんが実際に人生会議を始めるためのヒントをお届けします!
「あなたも、家族で未来を話し合う時間を作ってみませんか?」
#ラストノート
#「ありのままいきる」たったそれだけができない僕らは泣きたいのに笑う
お互いが自分の心を開いて、思いを、意思を、素直に話して、お互いのことを知り合うことはとても大事なことだと思います。
さがみはらファミリークリニック 理事長
みずじゅんクリニック 院長
水上潤哉