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「総合診療内科での実践教育:未来の医師を育てる」日本医師会赤ひげ大賞功労賞受賞(5)
医学生から未来の医師へ:臨床現場での指導の実際
この度、日本医師会から赤ひげ大賞を受賞することができました。これは私にとって非常に光栄なことであり、医療に従事する一医師としての責任を改めて感じる機会となりました。今回は、受賞理由の一つとして挙げられた「医学教育」についてお話ししたいと思います。
日本医師会赤ひげ大賞功労賞受賞についてはこちらのブログをご覧ください!
私は聖マリアンナ医科大学の総合診療内科で臨床教授を務めています。
ここでの役割は、5年生や6年生の医学生、そして研修医や医局員の医師たちに対して、臨床の現場で指導を行うことです。
外来診療や訪問診療という実際の診療現場での指導は、教科書だけでは得られない貴重な学びを提供する場となっています。
実際の診療現場での指導の重要性
総合診療内科では、患者さんの多様な症状や背景に対応することが求められます。
このような多様性は、医学生や若手医師にとっては大きな学びの場となります。
例えば、外来では一つの症状に対して複数の診断の可能性を考え、その中で最も適切な診療方針を選択する力が求められます。
また、訪問診療では患者さんの生活環境や家庭の状況も考慮した診療が必要です。
画像はコロナ禍での、夜間の自宅療養車への往診に、学生さんが同行して、個人防護具をつけて、TVで報道されていたような現場の大変さを実際に見学してもらいました。実際の診療や介護をされているご家族様を診療し、話を聞くことで、教科書だけでは学び得ない経験をしました。こうした積み重ねで地域医療を担う、次世代の医師が育っていってくれればと思います。
学生や若手医師たちは、現場で実際に患者さんと接することで、教科書だけでは理解できない「人間」としての医療を学ぶことができます。
医学生・研修医へのメッセージ
指導にあたって、私が常に心がけているのは、「一緒に考える」という姿勢です。
答えを教えるのではなく、どうすればその答えにたどり着けるのか、その過程を共有することが重要だと考えています。これにより、学生たちは自ら考え、行動できる力を身につけることができます。
また、患者さん一人ひとりの背景に寄り添った診療ができるよう、常に広い視野を持つことの大切さを伝えています。
総合診療内科の強みは、幅広い視点から患者さんを見ることができる点にあります。これを実践的に学ぶことで、学生たちは未来の医療を担う医師として成長していくのです。
おわりに
赤ひげ大賞の受賞は、私個人の功績というよりも、これまで関わってきたすべての医療従事者や患者さん、そして何より学生からもエネルギーをもらった努力の結晶だと感じています。これからも現場での指導を通じて、未来の医師たちを育てていくことに力を注ぎ続けたいと思います。
これからも一緒に学び、成長していきましょう。
特に診療の現場では、医師と患者だけではなく、そのご家族、関わるケアマネジャー、ヘルパー、訪問看護師、訪問薬剤師など、多職種にわたる連携が非常に重要となってきます。
院長 水上潤哉